技術者資格

プロフェッショナル・エンジニアとは何か
Engineering License System: Professional Engineers in Japan
表紙
NPO法人科学技術倫理フォーラム 編
杉本泰治 著

ISBN4-8052-0771-X

A5判/288頁

\2,400+税


概要

科学技術は人間生活のあらゆる面に深くかかわり人間生活を豊かにしている反面、科学技術がもたらす危害があり、その抑止がなければ人類の生存が危ぶまれる事態さえありえる。しかし、もはや科学技術を利用しない生活はありえず、人間は危険な科学技術を制御しながら安全に利用する道をひらいていかなければならない。そのことに直接に責任を負うことができるのは、科学技術を利用する活動の最前線にいる技術者である。

プロフェッショナル・エンジニア(PE)制度は、20世紀初頭米国で生まれた。いまでは、科学技術の進歩が人間生活に及ぼす重大な影響を認識して、科学技術を適切に制御する能力のある技術者にPEの免許を与え、一般市民や政府がそのような技術者を見分けることができるようにし、かつ、免許された者のみがその業務を行なうことができるようにしている。日本では、米国のPE制度をモデルに1957年技術士法が制定され、すでに半世紀の歴史がありながら一般にほとんど知られていない。日本で技術者といえば企業や機関に従属するものというイメージがあり、医師、弁護士などのような独立した専門職とみられていないなどの事情がある。

本書では、それらの皮相的な事情から、さらに、技術者の役割および位置づけを分析し、日本の科学技術基本法、技術士法などおよび米国のPE制度を再検討したうえで、適切な技術者制度の在り方を追究し、提言するようにしたい。

目次

第1章 技術者資格の課題
 技術士法と技術者の関係
 技術士法の2000年改正
 技術士とは何か
 科学技術基本法と技術士の関係
 基本法の性格
 技術者不在の基本法
 ふたたび技術士とは何か
 米国PE法との対照
 技術者資格制度の課題
第2章 技術者資格
 行政が関与する条件
 技術者
 法改正関係者の資格観
 一般市民の資格観
 公益の埋没
 説明責任の課題
第3章 適質・資格・免許
 資格関係の用語
 資格と免許の関係
 技術者資格の要件
 業務経験
 筆記試験
 口頭試験
 人格・評判
 まとめ
第4章 米国プロフェッショナル・エンジニア法 解説
 米国のPE法
 法体系のなかの位置づけ
 略称・定義
 技術業の業務
 立法の目的および意図
 隣接分野に干渉しないこと
 サンセット法の適用
 免除
 委員会
 委員会の権限と義務
 消費者の苦情手続
 免許要件
 免許・資格証明
 試験要件の不適用
 技術業の業務
 企業体の登録
 禁止業務・懲戒・行政上の過料
 委員会の助言的意見
第5章 技術士法 解説
 総則
 技術士試験
 技術士等の資格に関する特例
 技術士等の登録
 技術士等の義務
 日本技術士会
 雑則
 罰則
第6章 科学技術基本法 解説
 総則
 科学技術基本計画
 研究開発の推進等
 国際的な交流等の推進
 科学技術に関する学習の振興等
付 テキサス州技術業業務法(対訳)
索 引