温泉の開発と経営

表紙
室井 渡著
室井 晉校閲

ISBN4-8052-0534-2

A5判

384頁/\5,000+税



概要

温泉そのものを近代科学の上からどのように利用し,管理しなければならないかを説いたもの.温泉の地化学的分類,その開発,汲上げなどの要点,特に汲上げ量と影響圏の問題,注水による温泉の増量等,現地で直面する現象を解析し,さらに利用地域への効率的引湯計画,計算法を実例で説明した.

目次

1 地球の生成と日本列島の誕生
 1.1 地球の誕生
 1.2 日本列島の生成

2 火成岩と温泉
 2.1 火成岩の生成箇所
 2.2 白亜紀以降の火成岩
  2.2.1 第四紀以前の火成岩
  2.2.2 第四紀火山
 2.3 火山の形、割目の発生と温泉の関係
 2.4 火成岩の年齢と温泉との関係
  2.4.1 古い深成岩について
  2.4.2 第四紀火山帯と温泉

3 地温と噴気ガス
 3.1 地熱と表流熱
 3.2 放射性物質の核分裂と火山熱による熱量
 3.3 噴気ガスの温度と成分
  3.3.1 深さと化学成分の関係
 3.4 噴気ガス地帯から温泉地帯への移行

4 温泉の生態と分類
 4.1 温泉の生態
  4.1.1 温泉の地域的画一性
  4.1.2 地質条件が同じで、その後の力関係が異なる
   異質泉の共存
  4.1.3 ある地域における過剰汲上げによる泉質変化
  4.1.4 地質が異なっても、その後に加わった営力が同じで泉質が同じ場合
 4.2 温泉の化学成分
  4.2.1 陰イオン
  4.2.2 陽イオン
  4.2.3 水素イオン濃度(pH)
 4.3 温泉の分類
  4.3.1 地質学的分類
  4.3.2 物理学的分類
  4.3.3 医学的分類
  4.3.4 化学的分類

5 温泉の開発
 5.1 調査すべき事項
 5.2 温泉と火山岩の関係
  5.2.1 火山岩の形状を知ること
  5.2.2 亀裂からの層状泉と裂こ泉の区別
  5.2.3 地温測定
 5.3 地球物理的調査
  5.3.1 火山における岩漿圧の測定
  5.3.2 空中赤外線による地熱放射線の測定
  5.3.3 火成岩の年齢の測定
  5.3.4 電気探査
 5.4 地化学的調査
  5.4.1 水質分析
  5.4.2 放射能探査
 5.5 緯度の掘削
  5.5.1 テスト・ボーリング
  5.5.2 緯度の掘削

6 噴気利用による温泉造成法
 6.1 地熱の計算
 6.2 噴気による温泉造成法
  6.2.1 噴気ガスを管に導いて熱交換する方法
  6.2.2 暗きょ中での温泉造成法
 6.3 熱交換機使用による温泉造成法

7 温泉の採取
 7.1 透水計数
 7.2 温泉の湧出あるいは汲上げについて
  7.2.1 不圧砂礫層中に設けた浅井戸からの汲上げ
  7.2.2 被圧状態からの汲上げ
  7.2.3 横孔または暗きょによる採取
  7.2.4 野満およびタイスによる汲上げ式
  7.2.5 試掘ボーリングから本掘井戸の決定

8 温泉の汲上げ
 8.1 渦巻ポンプ
 8.2 水中ポンプ
  8.2.1 ボアーホールポンプ
  8.2.2 水中ポンプ
  8.2.3 エアーリフトポンプ
 8.3 エアーリフトポンプの図表による計算

9 影響圏
 9.1 影響圏
  9.1.1 影響圏を利用した水に関する種々の工法

10 過剰汲上げ
 10.1 過剰汲上げの様相
 10.2 過剰汲上げ状態を推定する方法
  10.2.1 水位降下からの方法
  10.2.2 水位は下らず温度が下った場合
  10.2.3 水位とともに温度が減少する場合
 10.3 注水法の理論と実際
  10.3.1 自然注水による温度および湧出量の変化
 10.4 注水の計画と実際
  10.4.1 嬉野温泉
  10.4.2 猿倉温泉の注水
  10.4.3 飯坂温泉
 10.5 過剰汲上げに伴なう泉質の変化
  10.5.1 海岸近くの温泉
  10.5.2 湖沼河川近くの温泉
  10.5.3 河川に臨む温泉

11 引湯
 11.1 引湯工事における注意事項
 11.2 引湯方式
  11.2.1 源泉を単位とした給湯法
  11.2.2 温泉の流動の形を主とした給湯法
  11.2.3 引湯工事に必要な計算
  11.2.4 引湯計画の実例

12 温泉の輸送間における温度損失
 12.1 パイピング間の温度損失
  12.1.1 保温したパイプを地下に埋設した場合
  12.1.2 保温をしないでパイプを地中に埋設した場合
  12.1.3 保温して地上に架設した場合
  12.1.4 保温せず管を地上に設置した場合の温度低下
 12.2 貯湯槽での温度損失
  12.2.1 貯湯槽の効果
  12.2.2 貯湯槽の設計
 12.3 浴槽からの熱損失
  12.3.1 浴槽
 12.4 温泉プールでの温度損失
  12.4.1 プール表面からの熱損失
  12.4.2 プール擁壁を通して逃れる熱損失
  12.4.3 全温度損失

13 温度の加熱法
 13.1 ボイラー加熱法
  13.1.1 直接加熱法
  13.1.2 上記吹込み法
  13.1.3 熱交換の式と熱量の算出
 13.2 ヒートポンプ

14 浴槽
 14.1 浴槽の汚染と湯量
 14.2 浴槽の形状について
  14.2.1 浴槽の形
 14.3 入浴に際しての所要湯量

(付録)温泉法
I 温泉法
II 温泉法施行規則
III 温泉法施行細則

索引