ニューエンジニアリングライブラリー

抗体工学入門

表紙
金光 修著
日本技術士会監修

ISBN4-8052-0456-7

A5判

274頁/\4,000+税



概要

バイオテクノロジーの発展の展望を求める方のために,抗体を素材として開発される新しい技術のベースとなる基礎知識および技術展開の流れについて解説し,抗体工学のアウトラインを示した.抗体に秘められた高度生体機能分子としてのすばらしさと発展性の大きさを把握できる.

目次

 はじめに

1. 抗体分子――構造と機能
 1.1 免疫系
 1.2 抗体分子――二つの異なる機能をもつ糖タンパク質
 1.3 抗体分子の断片化
 1.4 免疫グロブリン・ポリペプチドの構造
 1.5 抗体の抗原結合部位の構造
 1.6 Fc の構造と機能

2. 抗体の生成
 2.1 抗体産生序論
 2.2 抗体産生応答
 2.3 免疫グロブリン遺伝子の再構成
 2.4 B 細胞の分化
 2.5 免疫誘導(Immunization)
 2.6 試験管内免疫誘導

3. モノクローナル抗体(単クローン性抗体)
 3.1 モノクローナル抗体の特性と有用性
 3.2 モノクローナル抗体産生ハイブリドーマの調製
 3.3 ハイブリドーマ調製に用いる骨髄腫細胞(ミエローマ細胞)
 3.4 効率的な融合条件
 3.5 融合細胞の選択
 3.6 融合細胞の抗体生産
 3.7 モノクローナル抗体産生細胞株造成方法についての工夫
 3.8 ヒト・モノクローナル抗体
 3.9 二重特異性抗体(ハイブリド抗体)
 3.10 モノクローナル抗体の利用

4. 抗体の精製・分離および修飾
 4.1 抗血清
 4.2 抗体の精製・分離
 4.3 抗体分子の断片化
 4.4 抗体の化学修飾
 4.5 抗体の酵素標識
 4.6 二重特異性抗体(hetero-bispecific antibody)
 4.7 抗体――作用薬物の複合体
 4.8 ニワトリ抗体

5. 免疫測定法――抗体を利用した物質の微量測定法
 5.1 免疫測定法の特徴
 5.2 抗体・抗原反応――抗体と抗原の相互作用
 5.3 種々の免疫測定法

6. DDS(drug delivery system, 薬物送達システム)への抗体の利用
 6.1 標的指向性薬剤の開発
 6.2 標的指向性薬剤の直面している課題
 6.3 標的指向性薬剤開発の現状と動向
 6.4 標的細胞に到達した標的指向性薬剤の運命
 6.5 標的指向性薬剤の作用薬物として使用される毒素
 6.6 標的指向性を高めた血栓溶解剤の調製

7. 触媒活性をもつ抗体(catalytic antibody あるいは abzyme)
 7.1 触媒活性をもつ抗体についてのアイディアとその実現
 7.2 反応の遷移状態の安定化に寄与する抗体
 7.3 立体特異的加水分解反応を触媒する抗体
 7.4 有機溶媒中で反応を促進する触媒活性抗体
 7.5 反応のエントロピー・バリアーを下げる効果をもつ抗体
 7.6 アミド結合加水分解の触媒活性抗体
 7.7 触媒活性向上を目指した抗体分子改良デザイン
 7.8 触媒活性抗体に関する今後の展望

8. 遺伝子工学的手法による抗体調製および抗体の改変
 8.1 抗体の遺伝子工学
 8.2 キメラ抗体
 8.3 組換え DNA による抗体分子の産生(1)
    ――骨髄腫細胞による抗体分子の産生
 8.4 組換え DNA による抗体分子の産生(2)
    ――酵母による抗体分子の産生
 8.5 組換え DNA による抗体分子の産生(3)
    ――大腸菌による抗体分子の産生
 8.6 Fv 断片の骨髄腫細胞による高生産
 8.7 ‘reshape’型抗体
    ――マウス抗体の CDR をヒト抗体に移植した高度ヒト類似抗体
 8.8 Fv の安定化処理
 8.9 PCR 法による免疫グロブリン可変部 c DNA のクローン化
 8.10 免疫グロブリン VHドメイン単独による抗原結合性
 8.11 Fab の cDNA ライブラリー構築および大腸菌発現系
 8.12 免疫グロブリン可変部(一本鎖 Fv)の糸状性ファージによる発現系
 8.13 抗体全分子あるいは断片の大量生産系
 8.14 抗原結合性改良への道

9. 抗体利用のさらなる展開
 9.1 抗イディオタイプ抗体(anti-idiotypic antibody)
 9.2 抗イディオタイプ抗体の構造
 9.3 抗イディオタイプ抗体の調製
 9.4 抗イディオタイプ抗体のワクチンあるいはその他への利用
 9.5 抗イディオタイプ抗体のドラッグ・デザインへの利用
 9.6 おわりに

 付録 抗体工学関連主要略語集
    RNA コドン――アミノ酸対応表
 さくいん