宇宙の発見

望遠鏡による天文学入門
表紙
I.アシモフ著
斉田 博訳

ISBN4-8052-0097-9

A5判

328頁/\2,500+税



概要

SF作家として有名なアシモフが,雑誌掲載の収録ではなく,本格的に天文学と取り組んだ最初の書物.望遠鏡以前の時代から,人間が宇宙開拓に注いできた足跡を,当時計画段階だった宇宙望遠鏡の見通しまで含めて,数式はまったく使わず豊富なエピソードを織り込み,わかりやすく解説している.

目次

 序文

1. 望遠鏡のなかった時代
 I. 天文学のはじまり
  1. 太陽と月は動く
  2. 惑星も動く!
  3. スメル人の天文学
 II. ギリシャの天文学
  1. 理論を観測より重視
  2. すばらしい成果
 III. 太陽が中心に
  1. チコの観測精度
  2. コペルニクスの宇宙系
  3. ケプラーの惑星系
  4. ついに目は開かれた
 IV. 光とレンズ
  1. 光の性質と大気差
  2. レンズの性質
  3. めがねの発達
  4. 望遠鏡の発明

2. 天界は変った
 I. ガリレオの驚き
  1. ガリレオの望遠鏡
  2. アリストテレスの難点
  3. 月はデコボコの世界だった
 II. 新しい世界がひらかれた
  1. どうして地球が動いてはいけないのか?
  2. 宇宙は巨大で複雑だった
 III. 惑星の世界
  1. 木星の衛星の発見
  2. 土星の耳?
  3. 金星もみち欠けしていた
  4. 地球中心から太陽中心へ
 IV. ケプラーの天体望遠鏡
  1. レンズの収差
  2. 天体望遠鏡の誕生

3. 星空の測量
 I. 空気望遠鏡の時代
  1. スネリウスの法則
  2. 球面収差を少なくするために
  3. ホイヘンスの業績
  4. 空気望遠鏡の出現
  5. 長い望遠鏡の成果
 II. 時計の役割り
  1. ガリレオ以前の時計
  2. 振子の等時性の発見
  3. 振子時計とぜんまい時計
  4. 時計のめざましい働き
 III. マイクロメーターの威力
  1. 天体の位置の決め方
  2. マイクロメーターの使用
  3. 子午儀の誕生
 IV. 惑星の距離をはかる
  1. 火星の視差をはかれ!
  2. 地球は完全な球ではなかった
  3. 太陽系のスケールが拡大された
  4. クロノメーターの発明

4. 反射で見る
 I. 色の悩み
  1. 収差の除去のぞみなし
  2. スペクトルの研究
 II. 反射望遠鏡の誕生
  1. グレゴリーの考案
  2. ニュートンの反射望遠鏡
  3. カセグレン式反射望遠鏡
  4. 金属鏡の欠点
 III. 恒星が動く!
  1. 最初の望遠鏡星図
  2. 恒星が動く!
  3. 恒星の視差をはかれ
  4. 光行差の発見
 IV. 色消しレンズを求めて
  1. 反射がついに屈折に勝った
  2. アクロマチック屈折望遠鏡

5. 星は征服された
 I. 新しい惑星
  1. ハーシェルの登場
  2. 天王星の発見
  3. ふたたび大型化へ
 II. 銀河の研究がはじまった
  1. 連星の発見
  2. わが銀河の発見
 III. スペクトル中の暗線
  1. フラウンホーファーの屈折望遠鏡
  2. フラウンホーファー線
  3. 回折格子
 IV. ついに恒星視差を検出
  1. ベッセルの偉業
  2. ストルーフェも測定した
  3. ヘンダーソンも成功
  4. 見えないものをも見る
  5. 天体測光のはじまり

6. もっと光を
 I. おそるべき巨人鏡
  1. ロス卿の夢
  2. 巨人鏡ついに完成
  3. 渦巻星雲の発見とかに星雲の研究
  4. 巨人鏡の教訓
  5. 海王星の発見とラッセル
 II. 永続的な像を求めて
  1. 写真術の誕生
  2. 最初の天体写真
 III. 天体を撮影する
  1. 天体写真あいつぐ
  2. 二重星の写真
  3. 写真による最初の天文学的発見
 IV. 光を分析する
  1. スペクトル線の正体
  2. 反射格子の利用
  3. 太陽以外の天体のスペクトル研究
  4. ドップラー効果
  5. ヘリウムの発見

7. 天文学の主流アメリカへ
 I. アメリカ人の作った望遠鏡
  1. アルバン・クラーク
  2. シリウス伴星の発見
  3. 火星の衛星
  4. 火星の運河
 II. 屈折望遠鏡は頂点に達した
  1. リック天文台
  2. 世界最大の屈折望遠鏡
 III. 新しい鏡
  1. ガラス鏡の改良
  2. 鏡面テスト法の改良
  3. 銀メッキ・ガラス鏡の勝利
 IV. 新しい星図
  1. アルゲランダーのボン星表
  2. 乾板写真法の発明
  3. 最初の写真星図
  4. 天体写真の威力

8. 反射望遠鏡時代
 I. 恒星のスペクトル
  1. 恒星のスペクトル写真
  2. 恒星のスペクトル型分類
  3. 分光連星の発見
  4. 回折格子の改良
 II. 分光太陽写真儀
  1. ヘールの考案
  2. 太陽望遠鏡
  3. 黒点のゼーマン効果
 III. 恒星の進化
  1. 巨星と矮星
  2. クーデ式望遠鏡
  3. 白色矮星の発見
  4. ふたたび火星運河論争
 IV. ついに巨人鏡をしのいだ
  1. 254cm フーカー望遠鏡
  2. ケフェイドの光度周期関係
  3. 銀河系の征服
  4. 恒星の直径の測定

9. 銀河系のかなた
 I. アンドロメダ星雲
  1. はげしい論争の末に
  2. アンドロメダ銀河系の距離
  3. 恒星の種族
 II. 膨張する宇宙
  1. 相対性理論
  2. ハッブルの法則
  3. ビッグ・バン理論
 III. 特殊な目的の望遠鏡
  1. 大反射望遠鏡の欠点
  2. シュミット・カメラ
  3. コロナグラフ
 IV. 新しい巨人鏡
  1. ヘール望遠鏡
  2. 巨人鏡の限界

10. 情報は光だけでなく
 I. スペクトルを広げる
  1. 赤外線と紫外線
  2. 電磁スペクトル
  3. 電波・X 線・ガンマ線
 II. 天体からの電波
  1. 大気の窓
  2. 電波天文学の誕生
  3. お椀型の電波望遠鏡
  4. 電波望遠鏡の分解能
 III. レーダー
  1. 第2次世界大戦
  2. 太陽電波
 IV. 惑星からのエコー
  1. 流星・月・太陽からのエコー
  2. 金星の正体
  3. 水星の自転周期

11. 電波天文学
 I. 電波望遠鏡
  1. メーザーの発明
  2. 電波望遠鏡の型
  3. 電波干渉計
 II. 電波源天体
  1. 惑星のマイクロ波放射
  2. カシオペア座 A
  3. 爆発する銀河系
  4. 二つの宇宙論
 III. 準星
  1. 光学的確認
  2. おそるべき赤方偏移
  3. 準星の謎
 IV. 塵雲とパルサー
  1. 恒星間分子の存在
  2. パルサーと中性子星

12. 地球を離れて
 I. 宇宙を構成する粒子
  1. 重力波と重力望遠鏡
  2. ニュートリノと反ニュートリノ
  3. 宇宙線
 II. 気球とロケット
  1. 気球天文学
  2. 戦争とロケット
  3. V2 号ミサイルとロックーン
 III. 人工衛星と探査船
  1. 人工衛星が発見した磁気圏
  2. 月探査船
  3. 金星探査船
  4. 火星探査船
  5. その他の探査船
 IV. X 線源とブラックホール
  1. X 線天文学の誕生
  2. ブラックホール

13. 人間はついに宇宙へ
 I. 月に立つ
  1. 有人宇宙船
  2. アポロ計画の成果
 II. 大宇宙望遠鏡
  1. 有人宇宙船の限界
  2. 多重鏡望遠鏡(MMT)
  3. 大気圏外の望遠鏡
  4. 305cm 宇宙望遠鏡計画
  5. 大宇宙望遠鏡も計画中