宇宙工学概論

表紙
齋藤 利生著

ISBN4-8052-0021-9

A5判

352頁/\2,200+税



概要

宇宙を航行する小さな宇宙船の航行目的を完遂するために,工学的サイドで考えられる問題点を集約したもの.特に効率のよいロケット,姿勢の制御,再突入と機体については,宇宙工学の基本であり,かつ実用技術への利用を考慮して詳細に解説した.

目次

1 ロケット推進の基礎
 1.1 ロケットの推力
  1.1.1 理想ロケット
  1.1.2 理想ロケットの性能
 1.2 推力におよぼす設計因子の影響
  1.2.1 外気圧の影響
  1.2.2 燃焼室圧力の影響
  1.2.3 膨張比の影響
 1.3 実用ロケットへの応用
  1.3.1 理想理論の補正
  1.3.2 ノズル流の分離
 1.4 ロケット設計の基本的要素
  1.4.1 推進剤の選定
  1.4.2 設計定数の決定
 1.5 ロケットの性能の評価
  1.5.1 ロケットの出力
  1.5.2 ロケットの効率

2 液体ロケット
 2.1 液体ロケットの構成
  2.1.1 ロケットの基本構成
  2.1.2 V-2 ロケットの構成
  2.1.3 V-2 ロケットの性能
 2.2 液体ロケットエンジン
  2.2.1 圧力供給式ロケットエンジン
  2.2.2 ポンプ供給式ロケットエンジン
 2.3 推力室の設計
  2.3.1 形状
  2.3.2 推進剤噴射装置
  2.3.3 ノズル
 2.4 液体ロケットエンジンの制御
  2.4.1 制御の基本
  2.4.2 V-2 ロケットエンジンの作動、制御系
  2.4.3 エンジン制御装置
  2.4.4 推力ベクトルの制御
 2.5 代表的液体ロケットエンジン
  2.5.1 H-1 エンジン
  2.5.2 熱ガス抽出式エンジン
  2.5.3 制御用エンジン

3 液体推進剤
 3.1 ロケット推進剤の具備すべき一般条件
 3.2 液体推進剤の具備すべき特性
 3.3 低温液化型推進剤
  3.3.1 酸化剤
  3.3.2 燃料
  3.3.3 低温液化型推進剤の性能
 3.4 貯蔵可能型推進剤
  3.4.1 酸化剤
  3.4.2 燃料
  3.4.3 貯蔵可能型推進剤の性能
 3.5 一液式推進剤
  3.5.1 一液式推進剤の性能
  3.5.2 一液式推進剤の種類

4 固体ロケット
 4.1 固体ロケットの構成
  4.1.1 固体推進剤
  4.1.2 燃焼室
  4.1.3 ノズル
  4.1.4 点火装置
 4.2 固体ロケットエンジンの性能
  4.2.1 固体グレインの燃焼
  4.2.2 燃焼速度
  4.2.3 推力
  4.2.4 性能の限界
  4.2.5 不規燃焼
 4.3 固体ロケットエンジンの設計
  4.3.1 燃焼室圧力の選定
  4.3.2 グレインの選定
  4.3.3 燃焼室内の燃焼状況
  4.3.4 グレインに働く力
  4.3.5 グレインの容積と寸法
  4.3.6 グレインの幾何学的形状
 4.4 固体ロケットエンジンの制御
  4.4.1 推力の停止
  4.4.2 推力の制御
  4.4.3 推力ベクトルの制御
 4.5 代表的固体ロケットエンジン
  4.5.1 小型制御用ロケット
  4.5.2 球状ロケット
  4.5.3 大型ロケット

5 固体推進剤
 5.1 固体推進剤の具備すべき特性
 5.2 固体推進剤の構成
  5.2.1 酸化剤
  5.2.2 燃料バインダー
  5.2.3 添加剤
  5.2.4 触媒
  5.2.5 燃焼制限剤
 5.3 固体推進剤の種類
  5.3.1 均質型推進剤
  5.3.2 コンポジット型推進剤
 5.4 固体推進剤の性質
  5.4.1 物理的性質
  5.4.2 機械的性質
  5.4.3 安全性
  5.4.4 有毒性
 5.5 固体推進剤の製造
  5.5.1 均質型推進剤の製造
  5.5.2 コンポジット型推進剤の製造

6 混合型ロケット
 6.1 混合型ロケットの特徴
 6.2 混合型ロケットの形式
  6.2.1 推進剤による分類
  6.2.2 燃焼室による分類
 6.3 混合型ロケットの設計因子
 6.4 混合型ロケットの性能
  6.4.1 固体酸化剤‐液体燃料型
  6.4.2 液体酸化剤‐固体燃料型

7 ロケットの構造
 7.1 ロケットに働く力
  7.1.1 垂直上昇ロケットに働く力
  7.1.2 飛行間ロケットに働く力
  7.1.3 空力的力
  7.1.4 その他の力
 7.2 多段ロケットの構成
  7.2.1 単一ロケットの性能
  7.2.2 多段ロケットの性能
  7.2.3 ロケットの構成重量
  7.2.4 ペイロード打上げ能力
 7.3 エアーフレーム構造
  7.3.1 エアーフレーム
  7.3.2 構造用材料
  7.3.3 安全率
 7.4 推進剤タンク
  7.4.1 構造
  7.4.2 スロッシング
  7.4.3 タンク用材料

8 熱防護の基礎
 8.1 熱的環境
  8.1.1 空力加熱
  8.1.2 太陽熱加熱
  8.1.3 内部加熱
  8.1.4 熱平衡
 8.2 熱防護の基本
  8.2.1 熱交換の機構
  8.2.2 熱吸収能
 8.3 熱防護装置
  8.3.1 熱防護装置の分類
  8.3.2 熱消散の原理に基づく装置
  8.3.3 熱吸収の原理に基づく装置
  8.3.4 熱防護装置の能力

9 耐熱構造および耐熱材料
 9.1 燃焼室耐熱構造
  9.1.1 固体ロケット用燃焼室
  9.1.2 液体ロケット用燃焼室
  9.1.3 コンポジット構造燃焼室
 9.2 ノズルの耐熱構造
  9.2.1 固体ロケット用ノズル
  9.2.2 液体ロケット用ノズル
 9.3 耐熱材料
  9.3.1 耐熱金属
  9.3.2 コンポジット耐熱材料

10 材料におよぼす宇宙環境の影響
 10.1 真空の影響
  10.1.1 真空中における材料の気化
  10.1.2 機械的性質におよぼす真空の影響
  10.1.3 真空によるその他の性質の変化
 10.2 粒子衝撃の影響
  10.2.1 スパッターリング
  10.2.2 隕石の衝突
 10.3 放射線の影響
  10.3.1 宇宙の放射線環境
  10.3.2 太陽放射線の影響
  10.3.3 侵徹性放射線の影響

11 人工衛星
 11.1 人工衛星の軌道
  11.1.1 軌道の基礎
  11.1.2 打上げ軌道
 11.2 人工衛星の性能
  11.2.1 人工衛星の分類
  11.2.2 周期人工衛星
  11.2.3 同期人工衛星(静止衛星)
  11.2.4 人工衛星の観測性能
 11.3 人工衛星の制御
  11.3.1 軌道の修正
  11.3.2 軌道の変更
  11.3.3 姿勢の制御
 11.4 制御用機器
  11.4.1 姿勢感知装置
  11.4.2 環境測定装置
 11.5 宇宙用電源
  11.5.1 化学的電源
  11.5.2 原子力電源
  11.5.3 太陽電源
  11.5.4 エネルギー変換
  11.5.5 宇宙用電源の要約

12 再突入
 12.1 再突入現象
  12.1.1 再突入体に働く力
  12.1.2 再突入加熱
  12.1.3 再突入体のウエーキ
 12.2 再突入軌道
  12.2.1 再突入弾道
  12.2.2 滑空再突入
  12.2.3 帰還の廊下
  12.2.4 再突入体の誘導
 12.3 再突入体の回収
  12.3.1 パラシュートショック
  12.3.2 着水荷重
  12.3.3 衝撃吸収装置
 12.4 再突入体の構造
  12.4.1 有人再突入体の構造
  12.4.2 再突入体の容積
  12.4.3 耐熱構造

付録
 付.1 物理定数表
 付.2 太陽系の惑星の諸元
 付.3 単位の換算